東京高等裁判所 昭和37年(ネ)1874号 判決
本訴請求原因によると、控訴人は、同人所有の別紙目録記載の建物が抵当権実行による不動産任意競売手続(宇都宮地方裁判所昭和三六年(ケ)第二三号)の結果被控訴人に競落され、昭和三六年一二月六日同裁判所より被控訴人のため右建物の引渡命令が発せられたが、控訴人は同月一六日被控訴人より右建物をその敷地とともに買受け、代金完済と同時に所有権移転登記手続をする迄の間右建物及び宅地を控訴人において占有使用する旨の契約を被控訴人との間に締結したから被控訴人は右建物の引渡を求めることはできない、として本件不動産引渡命令の執行力の排除を求めているのである。しかし乍ら、競売法第三二条第二項により準用される民事訴訟法第六八七条第三項の規定による引渡命令は、債務名義ではなくして強制執行の方法に外ならないから該命令に対して不服を申立てるには民事訴訟法第五四四条所定の執行方法に関する異議によるべきでありこれに対し債務者又は物件所有者が請求異議の訴を提起することは許されないといわねばならない。よつて、本件不動産引渡命令に対する不服申立としてなされた本件請求異議の訴は不適法として却下すべきものであり、これと異る原判決は不当であるから民事訴訟法第三八六条によりこれを取消して本件訴を却下する。
(菊池 花渕 山田)